散りゆく桜を惜しんだのはつい先日だったのに、早くももう躑躅の季節になった。小ぶりな花をつける霧島躑躅はとっくに咲き競っていたが、今週に入ると大輪の大紫躑躅がほうぼうで開花し始めた。
ところで当ブログでは動植物の名をできるだけ漢字表記するよう心掛けているのだが、「躑躅」という字は見るからに難しくて、とても筆記できそうにない。字面もなんだか禍々しくて、どことなく「髑髏」を連想させなくもない。そもそも「躑」も「躅」も足扁の字なのが不思議である。とても植物名とは思えない。どうして「躑躅」なのだろうか。
こういう疑問に逢着したとき、ネット検索はたいそう有用である。たちどころに回答が得られた。いくつかのサイトの記述を総合するとこうなる。
躑躅は「てきちょく」と音読し、「躑(てき)」とは「足踏みする」、「躅(ちょく)」とは「もがきあがく」の意なのだという。すなわち、「足どりが乱れ滞り、歩行がままならぬ」さまを表す。
一説に拠ると、躑躅の植栽のこんもり丸くうずくまるような形に由来するといい、別の説では、自生する蓮華躑躅に毒のあるものがあり、それを嫌った羊が思わず足踏みするところから、この植物を「羊躑躅(ようてきちょく)」と呼ぶようになり、そこから躑躅の名が生じたともいう。
どうもなんだか判ったような判らないような、いささか腑に落ちないところのある説明だが、要するにそういうことらしい。
因みに、躑躅・皐月の類を、英語ではアザレア(azalea)と総称するが、これはギリシア語からラテン語に入った「乾いた」を意味する語に由来するそうな。乾燥した土壌で最もよく育つところからくるネーミングだそうだ。
ともあれ、咲き出した躑躅の赤紫色と、若葉の薄黄緑色とが互いに補色同士で鮮烈に照らし合って、見ているだけでクラクラ眩暈がしそうなほどだ。春たけなわ。