今しがた風呂から出て、とっておきのグルジア・ワイン「ピロスマニ」の栓を開けたところ。
深夜なので大きな音は禁物なのだが、ひとつ盛大に祝おう。世界的な演奏家に命じて、好みの楽曲を次々に奏させよう。
"I Want Magic!"
バーナード・ハーマン: 『嵐が丘』より 私は夢見た
ダグラス・ムア: 『ベイビー・ドウのバラード』より 手紙の歌
ジャン・カルロ・メノッティ: 『霊媒』より モニカのワルツ
ジョージ・ガーシュウィン: 『ポーギーとベス』より
サマータイム、あの人は行っちまった
レナード・バーンスタイン: 『キャンディード』より 着飾って陽気に
カーライル・フロイド: 『スザンナ』より 素敵な夜じゃない! 山々の木々
イーゴリ・ストラヴィンスキー: 『道楽者のなりゆき』より
トムから言伝てなし…彼のとこへ行くわ
サミュエル・バーバー: 『ヴァネッサ』より
あの人が来る、あの人が!…黙って、アナトール
アンドレ・プレヴィン: 『欲望という名の電車』より 魔法が欲しいの!
ソプラノ/ルネ・フレミング
ジェイムズ・レヴァイン指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団
1998年5月26‐30日、ニューヨーク、マンハッタン・センター・スタジオ
London 289 460 567-2 (1998)
これは素敵な一枚。夢のよう。しかもありそうで従来なかった「アメリカ歌劇アリア集」。バーナード・ハーマンの歌劇!(しかも『嵐が丘』!)から始まるというのが凄い。どれも文句なしに愉しいし、フレミングの歌唱も申し分ない。レヴァインの伴奏指揮はこのうえなく上手。もう言うことなし。歌詞の意味がわかるのが嬉しいなあ。
マヌエル・デ・ファリャ:
バレエ音楽『三角帽子』
エンリケ・フェルナンデス・アルボス頌
クロード・ドビュッシーの墓
ポール・デュカの墓
ペドレリアーナ
歌劇『儚き人生』より 舞曲
ガルシア・ナバーロ指揮 シュトゥットガルト・ヴュルテンベルク州立管弦楽団
1991年7月7, 8日、シュトゥットガルト、リーダーハレ (実況)
Capriccio 10 461 (1993)
久し振りに聴く『三角帽子』全曲。しかも実に生きのよいライヴ演奏だ。このバレエの初演に向けての猛練習にふたりの日本人が立ち会っていたというのだから歴史は面白い。四曲まとめて聴く「頌歌 Homenajes」も味わい深い。
セルゲイ・プロコフィエフ:
バレエ音楽『ロミオとジュリエット』抜粋 (ラインスドルフ編)
映画組曲『キージェ中尉』
エーリヒ・ラインスドルフ指揮 ボストン交響楽団
1967年2月13日、1968年4月22日、ボストン、シンフォニー・ホール
Testament SBT 1394 (2005)
なんとも懐かしい演奏。高校生の時分FMラジオから流れてきた音楽がこれ。「ロミオとジュリエット」はバレエ全曲からの指揮者自身による独自編曲、組曲と音楽の組み立てがまるで異なり、古典交響曲のガヴォットが不意に流れてきて吃驚したのは、あれはもう四十年前なのか! 「キージェ中尉」もちゃんとバスバリトン独唱入りなのが床しい。これも聴いた憶えがある演奏。
「私はいつもプロコフィエフのバレエ音楽『ロミオとジュリエット』が好きで、作曲者が拵えた組曲を時に応じて演奏していた。だが、ひとたびフルスコアに接してからは組曲では満足できなくなった。短い抜粋では筋立ての実質が伝えられないからだ。そこで、このバレエから切れ目なしの独自の組曲を拵え、より幅広く、フォーマルな作品に仕立てた」(ラインスドルフ)