昨夕はどういう訳かツキが廻ってきて、お茶の水で沢山のディスクを手にした。ずっと捜していたもの、聴き直したかったもの、存在すら知らなかったもの、などなど。
一夜明けて、少しずつ聴いてみる。これこそわが至福のときだ。
「レーヴィ・マデトーヤ交響曲全集」
マデトヤ:
交響曲 第一番*、第三番**、第二番***、交響詩「クレルヴォ」*、組曲「オコン・フオコ」****
レイフ・セゲルスタム指揮 フォンランド放送交響楽団*
ヨルマ・パヌラ指揮 ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団**
パーヴォ・ラウティオ指揮 タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団***
オッコ・カム指揮 フィンランド放送交響楽団****
1971, 73, 81, 83年
Canyon - Finlandia D31L1019 (1985)
ヴォルメル、サカリら単独指揮の交響曲全集がある現今も、このフィンランド勢総結集の「寄せ集め」全集には聴き返す価値がある。サラステ、サロネンの恩師であるパヌラの慈愛に満ち溢れた演奏がいいし、若きセゲルスタムやカムの覇気も聴き応え充分。懐かしい菅野浩和さんの愛情たっぷりのライナーノーツが嬉しい。
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A Balanchine Album"
チャイコフスキー: セレナード
ヒンデミット: 四気質
ストラヴィンスキー: アゴン
フォーレ: エメラルド
ロバート・アーヴィング指揮 ニューヨーク・シティ・バレエ管弦楽団
1986年2月、ニューヨーク州立パーチェス大学
Nonesuch 79135-2 (1986)
先月だったか銀座の山野で新品を購った二枚組だが、オリジナルCDを見つけたので、すかさず手に取る。なんといってもカルティエ=ブレッソン撮影の肖像写真を見事にあしらったヘンリエッタ・コンダックのアルバム・デザインが秀逸なのである。それと国内向けのライナーを薄井憲二さんが執筆されているのも有り難い。
ウォルトン: 管弦楽のためのパルティータ*
ドビュッシー: 海*
ラフマニノフ: 交響曲 第三番
ヘンデル: 王宮の花火の音楽
ベートーヴェン: 交響曲 第八番
ディーリアス: パリ
シュトラウス: ドン・フアン
コンスタンティン・シルヴェストリ指揮 ボーンマス交響楽団
1965年5月7日*、67年12月1日、67年11月20日、66年12月6日、67年3月2日、67年1月5日、ボーンマス、ウィンター・ガーデンズ
BBC Legends BBCL 4207-2 (2007)
なかなか中古で見つからず痺れを切らしていた二枚組。1969年、五十五歳の働き盛り(今の小生の歳!)で急逝したルーマニアの名匠の「落ち穂拾い」「忘れ形見」。いかにもとりとめない選曲だが、指揮者のヴァーサタイルな才能の発露ともいえる。誰がシルヴェストリのディーリアスを想像できようか! しかも堂々たる名演なのである! 録音が冴えないモノラルなのも忘れて聴き入った。熱っぽいベートーヴェンも、手中に入ったラフマニノフも、それぞれ傾聴すべし。
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Marcel Landowski: Symphonies 1-4"
ランドフスキ: 交響曲 第一番、第三番「デ・ゼスパス」、第四番、第二番*
ジョルジュ・プレートル指揮 フランス国立管弦楽団
ジャン・マルティノン指揮 フランス放送国立管弦楽団*
1988年10月、1970年1月*、パリ、ラディオ・フランス、スタジオ103
Erato 4509-96973-2 (1990)
大昔LPで耳にしたマルティノン指揮のランドフスキに再会した。60年代末から70年代初めにかけてのマルティノン&フランス放送国立管の旺盛なErato録音には目を瞠った。フランク、サン=サーンス、ピエルネ、プーランク、ルーセル四枚(「蜘蛛の宴会」「バッカスとアリアドネ」、第二交響曲から「エネアス」まで)、デュカ、さらにはランパルと組んだハチャトゥリャンの協奏曲。EMI にはドビュッシー全集があり、フローラン・シュミット、オネゲル、イベールとデュカ(交響曲)があり、チャイコフスキーの第二ピアノ協奏曲まであった。ドイツ・グラモフォンにもビゼーと「ハープ協奏曲集」もあったっけか。その悉くがCDで聴ける。例外がこのランドフスキ…と思ったら、こんな二枚組に組み込まれていた(ただしピアノ協奏曲を欠く)。
"Francis Poulenc et Denise Duval:
Mai Musical de Bordeaux 1958"
グノー:
「フィレモンとバウキス」より バウキスのロマンス
おいで、芝生は緑
シャブリエ:
「星」より 第一幕のロマンス
「嫌々王」より アルエットのシャンソン
ドビュッシー:
抒情的散文 (全四曲)
ラヴェル:
「シェヘラザード」より 魔法の笛、つれなき人
玩具のクリスマス
プーランク:
ルイーズ・ヴィルモランの三つの詩
心に支配される手
「カルメル会修道女の対話」より
「ティレジアスの乳房」より (*プーランクとの掛け合い)
トレアドール (*プーランクの曲目解説つき)
ソプラノ/ドニーズ・デュヴァル
ピアノ/フランシス・プーランク
1958年5月16日、ボルドー (実況)
Clio 001 (1986)
全くもう、こんな途方もない至宝がたった千円でそこいらに転がっている。どういうわけか「G」の棚に紛れ込んでいたのだ。晩年のプーランクのかけがえなきミューズだった歌姫を、作曲家のピアノがサポートする。もちろん心を籠めて。「ティレジアス」では興に任せてデュエットで自ら歌っちゃう。夢かうつつか、くらくら立ち眩みがしそうな奇蹟的なリサイタル。よくぞ録音が遺ったものだ。