今日は東京での野暮用に時間を奪われ、原稿が少しも捗らない。書くべきプロットはすでに胸中にあるので、あとはそれを理路整然と吐き出せばいいはずなのだが、それが残り三日間で出来上がるのか。明日からは外出を控えてひたすらキーボードを叩くのみ。
例に拠って今日も車中でヴァイオリン音楽を聴く。とびきり素晴らしい。
ベートーヴェン: ヴァイオリン・ソナタ 第五番
ドビュッシー: ヴァイオリン・ソナタ
ヒンデミット: ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 作品11-1
ヴァイオリン=シモン・ゴールドベルク
ピアノ=山根美代子
1991年6月6~11日、富山市民プラザ
東芝EMI PCDZ 1594 (1998)
シモン・ゴールドベルクにデジタル録音があったなんて信じられない。死の二年前、というからおそらく最後の録音だろうが、これがしみじみと心に沁みる演奏。最初の一音から「ああ、これはゴールドベルクだ」とわかる独特の音色と歌い回し。予期された耄碌や衰えは微塵も感じられない。よくぞ残してくれたものだ。晩年に連れ添った夫人のピアノも上乗の出来。
半ば私家盤のようで、滅多に目にしないが、見つけたら是非ともどうぞ。
今夜はこれをもう一度かけて眠りに就こう。熟睡したら、さあ三日三晩獅子奮迅。