八月の終わりに、夏の音楽としてエルガーの歌曲集「海の絵 Sea Pictures」を取り上げ、架蔵する限りのCDをディスコグラフィとして披露した(
→ここ)。
そこでは全部で二十七枚を列挙したが、まだ何枚か遺漏があることがずっと気になっていた。
今日たまたま新宿に出る用件があり、ディスクユニオンに立ち寄って、普段はあまりチェックしない独墺系の声楽曲の棚を見ていたら、こんなCDが並んでいることに気づいた。
"Grands Lieder"
マーラー: 歌曲集「子供の死の歌」
エルガー: 歌曲集「海の絵」
ツェムリンスキー: マーテルランクによる六つの歌曲 作品13
ソプラノ=ビルギッタ・スヴェンデン Birgitta Svenden
ジョン・カリュー John Carewe 指揮 ニース・フィルハーモニー管弦楽団
1990年7/11月、サル・ディアコスミー、ニース
Forlane UCD 16642 (1991)
スウェーデンの歌手、イギリスの指揮者、フランスの楽団という顔ぶれも珍しいが、いかに同時代とはいえ、エルガーをマーラー、ツェムリンスキーと組み合わせるのは例がないし、アルバムとしての纏まりもすこぶる悪い。
とはいえ、滅多に目にしないディスクなのだから、と迷わず手にした。
帰りの車中で聴いてみると、悪くない演奏だ。このアルバムに関する限り、スヴェンデンの声質はむしろコントラルトに近い。フランスの管弦楽団が奏でる「海の絵」はこれが初めてである。
家に着いてポストを覗くと、フロリダ州のCDショップから小包が届いていた。開けてみると、なんとこれまたエルガーの「海の絵」だ。
"Baroque and Romantic Vocal Music"
パーセル、テレマン、ヘンデルの歌曲(九曲)*
エルガー: 歌曲集「海の絵」
バリトン=ロルフ・レアンデルソン(*)
コントラルト=ビルギット・フィニラ Birgit Finnilä、ピアノ=ジョフリー・パーソンズ
1975年9月21日、Nacka Aula, Nacka, Sweden
BIS CD 127 (1995)
先月たまたまネット上で見つけて、注文しておいたアイテムである。
これもはなはだ奇妙なアルバムだ。スウェーデン歌手をふたり無理矢理カップリングしたので、曲目がちぐはぐ。とはいえ、これは「海の絵」をピアノ伴奏で歌った史上初の録音なのである。
それにしても、同日にまるで別のルートから同じ楽曲のCDが届くという偶然にちょっと驚く。これってユングの説くところのシンクロニシティなのだろうか。
このほか、新宿での収穫は次の如し。どれも未聴であるが。
ヴェルディ: 歌劇「ルイーザ・ミラー」
ラファエレ・アリエ、ルチャーノ・パヴァロッティ、マッテーオ・マヌグェッラ ほか
ペーター・マーク指揮 トリーノRAI交響楽団・合唱団
1969年、トリーノ
Intaglio INCD 7592 (1993)
リヒャルト・シュトラウス: 英雄の生涯、町人貴族、ドン・フアン、ドン・キホーテ*
マーラー: 歌曲集「彷徨う若者の歌」**
フリッツ・ライナー指揮 ピッツバーグ交響楽団
チェロ=グレゴール・ピアチゴルスキー(*)、メゾソプラノ=キャロル・ブライス(**)
1947、46、41、41、46年
Biddulph BID 83067/8 (2000)
ドビュッシー: フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ
ヴィラ=ロボス: 弦楽三重奏曲
チャールズ・マーティン・レフラー: 二つの狂詩曲 「池」「バグパイプ」*
ヴィオラ=ミルトン・カティムズ、ピアノ=ディミトリ・ミトロプロス(*) ほか
1950年代初頭
Pantheon Legends DIDX 023956