表参道駅から地上に出て、夏空の下を根津美術館方向へずんずん歩く。照りつける陽射しが暑い。だがカラリと乾燥しているのでさほど苦痛ではない。
行き先は美術館…ではなくて、その斜め前の古びたマンションの一室。正午過ぎに「古書 日月堂」に到着。
実は昨日の深夜たまたま覗いた日月堂のHPで驚くべき記事(
→ここ)を発見、取るものも取りあえず駆けつけた次第である。
『石井漠パンフレット』 1933
『サカロフ夫妻舞踊公演』 1934
『舞踊日本』 第十一号(サカロフ特輯)、1934
『舞踊』 創刊号、1934
『舞踊』 第二号(サカロフ特輯)、1934
『崔承喜パンフレット』 第一号(第二版)、1935いずれも1930年代の稀少な舞踊誌である。店主の佐藤真砂さんはつい先日の市場で、大変な競り合いの末、これらを入手された。
まずなんといっても表紙がいい。恐ろしくモダンで格好良く垢抜けている。それもそのはず、原弘や河野鷹思らがデザインを手掛けているのだ。
これが二度目の来日になるサカロフ夫妻は、正しくはサハロフ夫妻といい、両大戦間のモダン・ダンスを代表する踊り手として世界を股にかけて興行していた。
ロシア出身といってもバレエ・リュスの絢爛豪華とは無縁。舞台装置は一切用いず、伴奏音楽もピアノ一台きりだった。うろ覚えで恐縮だが、このときの来日では若き日のヴラド・ペルルミュテールがピアニストとして同行したのではなかったか。
途中の銀行で金をおろして出向いたのだが、それではとても足りやしない。
とりあえず、石井漠が刊行した雑誌『舞踊日本』(表紙:原弘)と『崔承喜パンフ』(表紙:不詳)の二冊だけを購入。あとは後日…と相成った。
体じゅうからどっと汗が吹き出た。もちろん油汗が。