御茶ノ水駅を降りて、明大の醜悪な建物の裏を抜け、山の上ホテル脇の坂を下る。陽気はまるで春さながら。
11時に神保町の裏路地の喫茶店で宮本立江さんと待ち合わせる。お目にかかるのは12月以来なので、互いに近況報告しあう。1930年代にモスクワで出版された日本語書籍のこと、マルシャークの「森は生きている」の日本での受容のこと、指揮者ロジェストヴェンスキーのこと、などなど。当方は先日、国会図書館での調査が不発に終わったので、大した成果がご報告できないのが悔しい。二時間半ほどしゃべったあと、近日中の再会を約して交叉点でお別れする。
そのあとは何軒か中古レコード屋を覗いた。そこそこの収穫。
暗くなる前に帰宅し、とっかえひっかえ聴いて楽しんだ。
バルトーク: 弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽、ディヴェルティメント
ショスタコーヴィチ: ピアノ協奏曲 第1番
ネヴィル・マリナー/アカデミー・オヴ・セント・マーティン=イン=ザ=フィールズ
ジョン・オグドン(pf)、ジョン・ウィルブラム(trp)
Decca 448 577-2
*LP時代に愛聴した懐かしい演奏。オグドンらを独奏に迎えたショスタコーヴィチが垢抜けた仕上がり。
ストラヴィンスキー: 組曲「プルチネッラ」、「ミューズを率いるアポロ」、カプリッチョ
ネヴィル・マリナー/アカデミー・オヴ・セント・マーティン=イン=ザ=フィールズ
Decca 443 577-2
*上記と同じく1960年代末の演奏。マリナーの音楽性の高さに今更ながら驚く。
ガーシュウィン: 「キューバ序曲」、組曲「キャットフィッシュ・ロウ」 ほか
エヴゲニー・スヴェトラーノフ/ハーグ・レジデンティ管弦楽団
Residentie Orkest RO 98-01
*1995年のライヴ。ロシアの指揮者、オランダの楽団、アメリカの楽曲という奇妙なとりあわせ。やや強引で我流の解釈ながら共感に満ちた力演。
チェレプニン: ピアノ協奏曲 第2番、交響曲 第2番、管弦楽組曲
アレクサンドル・チェレプニン(pf)、ロバート・ホイットニー/ルイヴィル管弦楽団
First Edition Music FECD-0024
*三曲とも世界初録音(1954、61、65)。作曲者自身のピアノ独奏が貴重。
ドビュッシー: 前奏曲集 第1集、第2集
フランソワ=ジョエル・ティオリエ(pf)
Naxos 8.553293
*ドビュッシーのピアノ曲全集(5枚組)の一枚。廉価盤なので軽視されがちだが、これは颯爽たる名演だ。
シマノフスキ: 管弦楽伴奏歌曲「ハーフィズの愛の歌」 ほか
カロル・ストリヤ Karol Stryja/ポーランド国立フィル(カトヴィツェ) ほか
Marco Polo 8.223294
*シマノフスキの管弦楽伴奏歌曲をまとめて聴ける重宝な盤。演奏だって悪くない。
ムソルグスキー: 歌曲集「死の歌と踊り」 ほか
キム・ボルィ(b)、アロイス・クリマ/プラハ放送交響楽団 ほか
Arlecchiano ARL-139
*フィンランドの名バスが60年代初頭にチェコで収録したロシア歌曲の珍しいアンソロジー。標題作の管弦楽編曲をボルィ自身が手がけている。
"The Art of the Balalaika"
The Odessa Balalaikas, Linda Obrian(vo)
Nonesuch 9 79034-2
*バラライカ・アンサンブルによるロシア名曲集。「悲しき天使」こと「長い道」がロシア語歌唱つきで収録されているのがミソ。