用事を済ませ帰宅すると、宅配ポストに荷物が届いている。待ちに待った細野晴臣&東京シャイネスのライヴDVDだ。今年の1月と4月に京都と福岡で収録された演奏が中心だが、初回発売分に限り、もう一枚ボーナス・ディスクがつく。小生が待ち望んでいたのは、実はこの附録のほう。
当ブログでも何度か話題にした昨年9月4日夜の忘れがたい「雨上がり」ライヴ、埼玉・狭山の稲荷山公園「ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル」での細野さんの演奏が、MCも含めて完全収録されているのだ。封を切るのももどかしく、さっそく再生してみた。
01. ろっかばいまいべいびい (西岡恭蔵に)
02. 僕は一寸 (高田 渡に)
03. Pom Pom 蒸気 (ルイジアナに)
04. 夏なんです
05. 終りの季節
06. 恋は桃色
07. 幸せハッピー
08. ありがとう (with 小坂 忠)
09. Stella
細野さんが狭山で歌うからには「Hosono House」を避けて通れないはずだ、と予想もし、期待もしたからこそ、豪雨の三時間をじっと耐えて待ったわけだが、こうして実際に「ろっかばいまいべいびい」が奏でられだすと、もういけない。感無量になってそのまま倒れてしまいそう。そのときこみ上げてきた強い情動を、一年経った今もまだ、うまく言葉にできないでいる。
さっきまでの驟雨が嘘のように上がり、夜の深いしじま、公園全体が秋の虫の音で包まれた(DVDでも背後に聴き取れる)。夢か幻のような環境のなかで歌われた「夏なんです」。半世紀以上生きてきて、これほどの感動がはたしてあったろうか。
こうして映像で観直してみると、細野さん自身が深い感慨をこめて歌っていることに、今更ながら気づかされる。この稀有な体験があればこそ、その後一年間にわたってアコースティック・ライヴが続けられたのであろう。先月に下北沢で聴いた矢野顕子とのデュオはその掉尾を飾るものだった。
「ハイドパーク」には昔からの親しい仲間たちと誘いあって出かけ、最前列で一部始終をつぶさに見届けた。カメラが細野さんの背中ごしに観客を捉えた映像にはわれわれも映っている。
今日は細野さんのライヴ映像を二度、通して観た。これからも折りに触れ、いとおしく見直すことになるだろう。
今夜はこれぐらいにしておこう。眠れなくなりそうだから。
最後に、コンサートから一夜明けた翌朝、小生が「ハイドパーク」公式サイト掲示板に書き込んだ感想をここに再録して、とりあえずの締めくくりとしよう。
あれは本当にあったことなのだろうか。
一夜明けてもまだ夢心地でいます。
途方もないどしゃぶり&ずぶぬれに堪えること3時間。
そして雨上がりに訪れた至福のひととき。
30年の時を経て、この地で細野さんが歌う「恋は桃色」。
その感動はとうてい言葉に尽くせません。
大袈裟ではなしに、生きててよかったと思いました。
2005年9月5日09時07分 沼辺信一@千葉