二か月間に及んだ小生の極私的な「ディーリアス・プロジェクト」も昨日ようやく大団円を迎えた。さすがに疲れた。もう当分ディーリアスは遠ざけて過ごすつもり。いずれまた欲するだろうけれど。
聴きたくとも聴けなかったディスクがだいぶ手許に溜まっていた。
欲求不満を宥めるべく、まず手始めに先月半ば某オークションで落札した旧譜CD。この音源自体が半世紀以上も前に出たLPを覆刻したものなのだが。
《アニーよ銃をとれ★オリジナル東京キャスト盤》
アニーよ銃をとれ Annie Get Your Gun
01. 当たり前のことさ Doin' What Comes Natur'lly
02. 鉄砲で男は得られない You Can't Get A Man With A Gun
03. 愛することは素晴らしい* They Say It's Wonderful
04. 月光の子守歌** Moonshine Lullaby
05. あの娘に負けた* My Diffences Are Down
06. 私もインディアン I'm An Indian, Too
07. あの人の腕に抱かれて I Got Lost In His Arms
08. 朝の太陽は私のもの** I Got Sun In The Morning
09. あんたにゃ負けない* Anything You Can Do
10. ショウほど素敵なものはない** There's No Business Like Show Business
11. (Bonus truck) 当たり前のことさ***
作詞・作曲/アーヴィング・バーリン
訳詞/中村メイコ
編曲/若松正司、山屋清**、筒井正志***
アニー・オークリー/江利チエミ
フランク・バトラー/宝田明*
合唱/ハニー・ナイツ、児童合唱団、キング・レコーディング・クワイア
演奏/野村良と東京ユニオン(ウィズ・ストリングズ)、宮間利之とニューハード・オーケストラ(ウィズ・ストリングズ)**、原信夫とシャープ&フラッツ***1964年11/12月、東京・音羽、キングレコード音羽スタジオ
1980年11月16日、東京・芝、郵便貯金ホール、「江利チエミ・30周年アニバーサリーリサイタル」実況***
キングレコード HMI Records HMI-101 / NKCD 1249 (1995)
→アルバム・カヴァーこれは素晴らしいアルバムだ。ミュージカル《アニーよ銃をとれ》日本初演(1964年10月31日、東京、新宿コマ劇場)直後、おそらくまだ公演中にキングレコードがスタジオ収録したアルバム。日本初の「オリジナル・キャスト盤」である。
ブロードウェイ・ミュージカルの本格的な日本語上演を目指す菊田一夫の製作・演出による「東宝ミュージカル」は1963年秋の《マイ・フェア・レディ》を皮切りに、《カーニバル》《ノーストリングス》《努力しないで出世する方法》と矢継早に実績を重ね、その第五弾として満を持して送り出されたのが本作である。
以前《マイ・フェア・レディ》日本初演について調べた際、ついでに蒐めておいた《アニーよ銃をとれ》日本初演のプログラム(
→その表紙)が手許にあるので、そこから菊田一夫の言を引こう。
■ 製作・演出者の言葉 ――菊田一夫
アービング・バーリンの "アニーよ銃をとれ" がアメリカで初演されたのは、ミュージカル初期の時代に属します。歌があって芝居があり、踊りが沢山ある。
"マイ・フェア・レディ" 以来、"カーニバル" "ノー・ストリングス" "努力しないで出世する方法" 等々、いくつかのミュージカル作品を上演して参りましたが、実は此の "アニー" こそが、此の新宿コマ劇場に於て上演されるのに、一番ふさわしい作品なのではないか、と考えます。
つまりこれが、現在のように隆盛となったアメリカ・ミュージカルの原型だからです。
演出者として申しますならば、劇中のアニーのすることなすことを、よくよく御覧下さい。その言葉や行為のどこかから「マイ・フェア・レディ」のイライザが感じられます。
芝居の企画とか、脚本製作とかは、此のようにして進歩向上するのだという、面白さが感じられます。
とにかく楽しいミュージカルです。
御賞味ください。(まだ聴きかけ)