先日キャロル・キングの前半生を描いたミュージカルを観ながら、ああ、大瀧詠一は生きてこの舞台を観ることが叶わなかったのだ、と嘆かずにいられなかった。もしも実見したら、はたして彼はどんな感慨を漏らしただろうか。
もうひとつ、念頭に浮かんだこと。ソングライターを目指しながら、時代の要請で「心ならずも」シンガー=ソングライターになってしまった女性といえば、わがニッポン国にもひとり実在するではないか。彼女の若き日の物語もまた、ミュージカルに打ってつけの題材ではないか。いや、そんな構想は、とっくにどこかの誰かが思いついて、密かに実現を企んでいることだろう。