ぽかぽか暖かい正月だ。「この陽気に、どこへも出かけないのか」との家人の声に促されて、今日は自転車に乗って初詣に出向くことにした。
花見川沿いにしばらく走ったのち、入り組んだ裏道を迷いながら進むと小高い緑の丘が現れる。
検見川神社だ。急な階段を上ると、普段は閑散とした境内が夥しい人の波に揉まれている。もともと狭い神域だから、立錐の余地もない混雑ぶり。雑踏のなか落ち着いて参拝もできないので、家人が御神籤を引いたのをしおに早々と辞去。開いてみたら
小吉だという。まずは無難なところか。
これだけでは味気ないので、再び川沿いの道に戻り、もう少し上流へと進むと、右手に鬱蒼たる高台が迫ってきた。重いペダルを漕いで坂道を上ると、
子安神社に到着。ここも由緒ある神社らしいのだが、どういうわけか、こちらはよほど閑散として静か。家族連れの参拝がときおり三々五々といった塩梅だ。あらかた近隣の人たちなのだろう。おもむろに本殿に詣でたあと、境内のあちこちに設けられた小社を見て回る。もともとこの一帯には平安時代に古墳が築かれたといい、裏手の森は昼なおほの暗く、いかにも霊験あらたかな雰囲気だ。
再び本殿前に戻り、今度は小生が御神籤を引く。なんと珍しくも
大吉である。ただしその下に「渦を巻く 谷の小川の 丸木橋 渡る夕べの こゝち するかな」とあり、なにやら心細い文言が書いてある。託宣に曰く「初
めは危い谷の小川の橋を渡る様な心配事があるが驚き迷うことはありません 後には何も彼も平和に収ります」だと。なんだ、ちっとも目出度くないぢゃないか!
どこかもう一か所、できれば
稲毛浅間神社にでも詣でたかったが、あそこも大混雑だろう。人混みのなかで風邪でも移されては堪らないので、今日はこれにて退散。もと来たサイクリング道路をゆるゆる走って大人しく帰途につく。
そのあと遅い昼食は焼餅。海苔を巻いて醤油でもいいが、それも飽きたので家人は餡子、小生はバタを載せて食す。それにしても「危ない谷の丸太橋を渡る」とはこれまでの我が人生そのものではないかと苦笑する。きっと今年もおんなじだろう。