ボブ・ディランにノーベル文学賞の報に軽い眩暈を覚える。昨年のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチに勝るとも劣らぬ驚きであるが、よくよく考えると、これほど世界で遍く歌われる詞の作者なのだから至極当然だとも思えてくる。ならばポール・サイモンでもよかったような気もするが、大御所ディランの受賞には誰も異を唱えることはできまい。
思うに米国詩人でノーベル賞を貰ったのは、亡命詩人ヨシフ・ブロツキーを別にすれば、今回のディランが史上初めてではないか。ロバート・フロストでもカール・サンドバーグでもなく、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズでもラングストン・ヒューズでもなく、ボブ・ディランが最初の受賞者となったことに深い感慨を禁じえない。まさしく「時代は変わる The Times, They Are A-Changin'」のだ。