いかにも春めいた陽気に誘われて近傍をのんびり散策。染井吉野はやっと蕾が膨らんだ程度だが、白い花弁の大島桜が今や満開である。早咲きの河津桜はもう散り始めている。海辺近くまで赴いて遠方を眺めやるが、富士山はおろか東京湾岸もスカイツリーすら見えない。よく晴れているのに春霞がたなびいて視界を遮っているためだ。上方からピーチク囀る声が聞こえる。揚げ雲雀だ。ただし、どんなに目を凝らしても雲雀の姿は見つけられない。よほど空高く飛翔しているのか。
一時間ほど歩いて帰宅すると、いい具合に腹が減った。冷蔵庫からあり合わせの食材を見繕って軽い昼食。フライパンのオリーヴ油で微塵切りの大蒜を焦がさぬよう慎重に加熱し、そこに一本まるまる細かく輪切りにした長葱を投入。同時に松の実と輪切り唐辛子も加えてさっと炒める。味付けは塩と黒胡椒、それに昆布だし少々。その間に鍋でスパゲッティを茹でておく。予め塩茹でした桜海老(相当な量)を最後にフライパンへ投入。茹で上がったスパゲッティを水切りし、素早くフライパンに移して、具材と手際よく混ぜ合わせる。簡単料理「桜海老と長葱のスパゲッティ」の完成だ(と声高に宣するまでもないか)。桜海老と葱の取り合わせが香ばしく、見た目にも花と新芽の彩りを思わせて、今の季節にぴったりの一皿である。
"Tasmin Little/ The Lark Ascending"
モーラン:
ヴァイオリン協奏曲
ディーリアス:
伝説
ホルスト:
夜の歌 作品19-1
エルガー:
朝の歌
夜の歌
愛の挨拶
ヴォーン・ウィリアムズ:
揚げ雲雀
ヴァイオリン/タズミン・リトル
アンドルー・デイヴィス卿指揮
BBCフィルハーモニック
2013年5月23、26日、ソルフォード、メディアシティ
実は昨秋すでに紹介済のアルバムなのだが、どうせならやはりこの季節にこそと、改めて聴き惚れた次第である。「揚げ雲雀」──本当にしみじみ美しい曲だ。