春到来の兆しが感じられたので久しぶりに床屋へ赴く。いつもよりも短めにカットしてもらう。もう髪を刈り込んでも寒さが頭皮にこたえないだろうから安心だ。
一方、家人はといえば、昨日あたりから鼻をぐずつかせている。そろそろ花粉が飛来しているのだという。いやはや季節の変わり目は悲喜交々である。
昨日の晩飯はいつもより手間暇かけて、ロールキャベツに挑戦。普段ならば出来合いの半製品をスーパーで買ってくるのだが、それではならじと一念発起、生の具材をキャベツで巻いて一から手作りした。いつぞやTVの「キューピー3分クッキング」で紹介していたレシピを忠実になぞって調理してみた次第。
■ まずは中位の大きさのキャベツから芯の部分を刳り抜き、丸ごと鍋の熱湯に投入し、グツグツ煮込む。その間に、合挽肉をボウルに入れ、微塵切りの玉葱とベーコンを混ぜ込み、塩・胡椒(いずれも少々)・粉チーズ(かなり多量)を振りかけたら、粘り気が出るまで念入りに手捏ねする。
■ キャベツがしんなりしたら湯から出して、葉が破れぬよう一枚ずつ剥がして水切り。堅い葉脈の部分は麺棒で叩いて柔らかくする。キャベツの葉を特大→大→中→小の順に四枚ほど重ね、その上に俵形に丸めた具材をころりと寝かせ、葉の片側を内側に織り込みながら丁寧に巻いていく。巻き終えたら、はみ出した葉のもう片側を筒端の内側に押し込む(こうすると巻きがほどけにくい)。
■ 大きめの鍋にキャベツ巻をぎっしり隙間なく並べ、先程のキャベツの茹で汁に月桂樹の葉、白ワイン少々を加えて、弱火でじっくり辛抱強くコトコト煮込む。最低でも二時間。ロールの形をくずさぬため、キャベツ巻きはそのまま動かさないこと。最後に塩・胡椒で味を調える。
煮込んでいると部屋中にいい匂いが立ちこめる。これは絶対に旨いはずだと確信。どうやら成功は間違いなさそうだ。
いつもだったらレシピどおりでなく適当に手抜きするところだが、今回ばかりは「本格的なロールキャベツを作りたい」という想いがむくむくと湧きあがり、番組で紹介した手順を愚直なまでに墨守して、そっくりそのまま追随してみた(ただひとつ、白ワインを切らしていたため、料理用の日本酒で代用)。途中でコンソメスープの素を投入したくなったが、それもグッとこらえた。
二時間じっくり煮て完成。結果は大成功だったと思う。キャベツはとろけるように柔らかくて甘く、でも巻きが型崩れしていない。ほぐしながら頬張ると、挽肉の芳ばしい味と香りが口いっぱいに拡がって美味しいのなんの。具材の旨味が透明なスープにたっぷり溶け出して、得も云われぬハーモニーを醸し出す。家人は「もう少し味が濃いほうが好みだ」とのたまうが、それは各自が塩と胡椒で調整できる。
とても一度では食べきれず、残りを今日の昼御飯でも食べたのだが、一夜置いたら更に味が馴染んで、具材のエキスが沁み出してスープは程よい褐色になっていた。翌日のほうが旨さが増したかもしれない。二人してぺろりと平らげた。
いつもより調理時間はかかったが、手順そのものは簡単だし、キャベツはどうやら今が旬らしく、美味なうえに安価なので、今の季節にロールキャベツはぴったりなのだ。近日中にまた作ろうっと。今度は白ワインも用意して。