今日は展覧會を觀に家人と埼玉の浦和まで遠出して來た。時折雲間から青空が覗く穏やかな陽氣だつたので、所用を濟ませた後で界隈を暫し散策した。
此處は幼年時代に數年間を過ごした思ひ出の地であるが、何しろ半世紀以上も前の事とて、すつかり樣變はりした街竝に戸惑ひを覺へた。歩き疲れて喉も渇いたので良ささうな珈琲屋を捜すが徒勞に終はる。驛周邊はそこそこ賑はつてはゐるものゝ、碌な店が見付からないのは嘆かはしい。流石に草臥れ果て、歸路の車中では正體無く眠りこけてしまつた。
輕く夕食を摂つて少し横になつたら元氣が戻つた。入浴後は窓からの夜風に涼みながら昨夜に引き續き英國音樂。同じくニハトコ氏の秀逸な指揮で聽かう。
"Hallé - Elgar: Symphony No. 1, In the South - Mark Elder"
エルガー:
交響曲 第一番*
序曲「南國にて(アラッシオ)」**
月明かりのなかで(民衆歌曲)***
メゾソプラノ/クリスティーン・ライス***
マーク・エルダー指揮
ハレ管絃樂團2001年9月11~12日、マンチェスター、ブリッヂウォーター樂堂*
2002年7月7日、マンチェスター、BBC新放送會館ストゥーヂオ7**
2002年10月17日、マンチェスター、ブリッヂウォーター樂堂***
Hallé CD HLL 7500 (2003)
→アルバム・カヴァー第一交響曲が格調高く威風堂々たる演奏。ただし水面下に何やら名狀し難い不安や屈託を抱へて錯綜した味わひなのは、この録音が「9・11」當日とその翌日に爲されたといふ驚愕の事實と關係があるのだらうか。