吉祥寺に赴き舊知の友に再會する。嘗て校閲の仕事で散々世話になつた編輯者だ。三年半振りだといふが、つひ先日逢つた許りのやうな氣がするのは何故だらう。雨のそぼ降る一日だつたが、懷かしい思ひ出話をしたら心がなんだか晴々した。
今夜も就眠する前にモントゥーの實況録音から聽かうか。
"Pierre Monteux in Boston:
A Treasury of Concert Performances 1951-1958"
シューマン: 交響曲 第三番「萊因河」*
チャイコフスキー: 交響曲 第五番**
ピエール・モントゥー指揮
ボストン交響樂團
1955年1月28日*、1957年4月13日** 、ボストン、シンフォニー・ホール(實況)
West Hill Radio Archives WHRA 6022 (2008)
なんとも胸のすくやうな名演の連續であることよ。沸々と浪漫の湧き出るシューマンも好もしいが、緩急自在の感興に満ち、千變萬化するチャイコフスキーの素晴しさ、とりわけ第一樂章に感嘆久しうする。モントゥーもまた實演でこそ眞價を十全に發揮する指揮者だつたのだ。