ふう、月末も押し詰まって漸く机上作業にひと区切りがついた。少しばかり休息してCDを聴いても罰は当たるまい。内容的にはちょっと季節外れなのだが、なあに構うものか。心身を慰撫するにはまさしくうってつけの音楽なのだから。
"Jurowski conducts Honegger"
オネゲル:
夏の牧歌
交響曲 第四番「ばじりあのよろこび」
クリスマス・カンタータ*
ヴラジーミル・ユロフスキー指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
バリトン/クリストファー・モルトマン*
ロンドン・フィルハーモニー合唱団*
ニュー・ロンドン児童合唱団*
2007年3月28日、ロンドン、クィーン・エリザベス・ホール(実況)
2009年12月5日、ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール(実況)
London Philharmonic Orchestra LPO-0058 (2011)
この1月に倫敦を訪れた際に演奏会場でしばしば目にしたLPO最新の自主制作盤。ユロフスキーの振ったオネゲルとは些か意表を突かれる思いがした。帰国してから嘘みたいな安価で見つけたのを機にものは試しと聴いてみたら滅法よい出来に感心する。なるほどCDに残したくなったのも了解されよう。
これまでに聴いた他のオネゲル指揮者による録音とは些か趣を異にする。徒らにムーディな雰囲気に流されず、敏捷と緻密を織り合わせたような思慮深い「夏の牧歌」からもユロフスキーの志向性は明らかだ。羅典語で "Deliciae Basilienses" と副題された第四交響曲を久しぶりに聴いて魅力を再認識。ここまで肌目細やかなテクスチャーを入念に彫琢した演奏があっただろうか。
実を云うと最後の「クリスマス・カンタータ」がたいそう素晴らしい出来なのだが、いくらなんでも春の盛りに降誕祭は場違いだ。年の暮れに改めて聴き直すことにしよう。