引き続き今日もムラヴィンスキー=プロコフィエフ。今日聴くのはとっておきのアーカイヴ録音である。
《ムラヴィンスキー・メロディア未発表録音集 vol.2》より
プロコフィエフ:
交響曲 第六番*
バレエ組曲『ロミオとジュリエット』第二番**
エヴゲニー・ムラヴィンスキー指揮
ソヴィエト国立交響楽団*
レニングラード・フィルハーモニー交響楽団**
1947年12月25日、モスクワ音楽院大ホール(実況)*
1952年3月24日、レニングラード**
BMGジャパン Мелодия BVCX-8025 (1998)
恐ろしく貴重な遺産である。なにしろこれは第六交響曲のモスクワ初演の実況録音なのだ。レニングラードで行われた世界初演(1947年10月11日)の僅か二箇月後の生々しい記録である。よくぞ残っていたものだ。
プロコフィエフは1945年に第五交響曲を自らの指揮で世界初演した少しあと、転倒して頭を打った事故から重病に罹りピアノ演奏も指揮も儘ならぬ身となった。
そこでこの最新作を誰に指揮させるのかが問題となった。プロコフィエフは戦時中からムラヴィンスキーの厳密精確な指揮に注目していたうえ、この交響曲が完成した直後の47年3月21日、ムラヴィンスキーがわざわざ別荘に来訪し、プロコフィエフのピアノ試奏を聴いて絶賛し、ぜひ初演したいと申し出たその熱心さに心動かされた。
こうして本来ならアレクサンドル・ガウクやサムイル・サモスードらプロコフィエフゆかりの先輩指揮者が振るべき(と誰もが予想した)新作は、思いがけずレニングラードの若き(といっても四十四歳だが)駿才の手に委ねられたのである。
(まだ聴きかけ)