生誕百五十周年のアニヴァーサリー・イヤーだといふのにドビュッシーをまるで耳にしてゐない事に今頃やつと気付いた。此れではならじと棚からおづおづと取り出したのは半世紀も前のピアノ演奏だ。
ドビュッシー:
前奏曲輯 第一輯*
■ デルフォイの舞姫
■ 帆/面紗
■ 曠野を吹く風
■ 音と香は夕べの大氣に漂ふ
■ アナカプリの丘
■ 雪上の趾
■ 西風の見たもの
■ 亞麻色の髪の乙女
■ 遮られたセレナード
■ 沈める寺
■ パックの踊
■ ミンストレルズ
前奏曲輯 第二輯**
■ 霧
■ 枯葉
■ ビーノ門
■ 妖精達は妙なる踊り手
■ ヒース野
■ 變はり者ラヴィーヌ將軍
■ 月光の注ぐ露臺
■ オンディーヌ
■ ピクウィック殿を讃へて
■ カノープ
■ 交替する三度
■ 花火
洋琴/モニック・アース
1962年7月2~5日*、1963年1月14~17日**、伯林、耶蘇基督教會
Deutsche Grammophon 439 666-2 (1993)
きつかり半世紀前の録音…卽ちドビュッシー生誕百周年を記念しての收録だつたといふ事實に今になつて気付く。
モニック・アース Monique Haas は20世紀音樂を專ら得意とした閨秀洋琴家。羅馬尼亞の作曲家ミハロヴィチの夫人としても知られる。やがて1970年前後に佛蘭西エラート社でドビュッシーとラヴェルのピアノ全集といふ金字塔を打ち立てる譯だが、其れに先驅けて伯林で收録した此の二枚の「前奏曲輯」の出來映へも毫も見劣りしない。
(まだ聽きかけ)