今日も日がな一日ずつと別室の整理。LPレコードの大半を處分し、CDと書籍の三分の二を手放す。死ぬ程辛いが、本當に死ぬよりは幾分かましであらう。
一旦は賣却する山に積んだものゝ矢つ張り手放さないことにした一枚。
"Ibert: Piano Music"
ジャック・イベール:
スケルツェット
浪漫的な小品
アルベール・ルーセルの名に依るトッカータ
リリパット村の惡童
フランス風(ピアノの為のギタール)
廢墟に吹く風
十五景の小組曲
物語
邂逅
ピアノ/張惠園(Chang Hae-Won)
1991年9月29、30日、ハイデルベルク、ファン・ヘースト録音スタヂオ
Naxos 8.554720 (2000)
完全な全輯では無いものゝイベールの洋琴曲の大半を一枚に收めた重宝なアルバム。大先輩ルーセルに捧げた樂曲や、十五の優しい小品から成る「小組曲」、最も人口に膾炙した愛らしい曲集「物語 Histoires」や「邂逅 Les Rencontres」等々イベール音樂のエッセンスを凝縮したやうな珠玉のピアノ曲が聽ける。張惠園は韓國を代表する閨秀洋琴家ださうで、フランクフルト高等音樂院で學んだ。ルッジエーロ・リッチ、クリスティアン・フェラス、アンドレ・ナヴァラ等と共演経驗を重ね、今や彼の國の樂壇の重鎮と成つてゐる由。聊か音色の變化や洒脱な味わひには乏しい氣もするが、先づは丁寧で肌理細やかな佳演と云へる。
久し振りに「物語」を聽く。LP時代末期に確かフランソワーズ・ゴベと云つたか佛蘭西の洋琴奏者の瀟洒な演奏で繰り返し親しんだのを思ひ出す。小さな白い驢馬をあしらつたカヴァー(
→これ)が懐かしい。今は昔。