夕食後にちょっと寝入ってしまったためだろう、一向に寝つけない。なのでBBCのサイトからウェブ・ラジオを聴取してみる。こういう番組をPCで聴くのは初めてである。数日間の限定だそうだが、英国最新の演奏会実況が聴けるというのだから有難い。
2011年4月16日
エディンバラ、クィーンズ・ホール
オリヴァー・ナッセン指揮
スコットランド室内管弦楽団
チェロ/アンシ・カルトゥネン*
■ムソルグスキー(ナッセン編): 紡ぎ女、ゴパック (~『ソロチンツィの定期市』)
■シューマン: チェロ協奏曲*
■ドビュッシー(カプレ編): バレエ『玩具箱』
BBCラジオ3でつい先日(26日)放送されたばかりの番組が丸ごと聴けてしまう。
渋いけれど凝ったプログラム編成である。いつもの自作自演の代わりにムソルグスキーによるナッセン編曲物が聴けるのが珍しい。瀟洒な出来だが数分であっという間に終わってしまう。
独奏の
アンシ・カルトゥネン Anssi Karttunen はフィンランドのチェリスト。プリースやデュ・プレに師事した人で、現代物のスペシャリストとしてサーリアホやサロネンの新作の初演で知られる。来日もしているそうだが小生は初めて聴く。冒頭で音程がふらつくが、第二楽章以降は持ち直す。くぐもった独特の音色が奏でる密やかなシューマンも悪くない。先日のロストロポーヴィチとは何から何まで異なる。
最後のドビュッシーは滅多に実演で聴けない『
玩具箱 La Boite à Joujoux』。番組にはナッセン自身も出演し「この魅力的なバレエ音楽がなぜ等閑視されるのか理解できない」と愛着を語る。「僕がオペラ『
怪獣たちが住むところ』でこの曲から引用した箇所があるんだけど誰も気づかなかったみたい」とも。確かにこれはナッセンの愛惜の念が滲み出た秀逸な演奏である。CDにならないかなあ。